其之壱 あなたならどっちを選びます?

 1. そんなモン食いたいか?

平成5年の不作の年、農文協刊の現代農業と言う雑誌に
私は、こうやって平年作の収量を確保しました。
と、言う見出しが新聞広告にデカデカと掲載されていました。 それも減収著しい東北地方で。
 その年うちらは、前年の40%減。同じ稲作をしているモンにとっては、めっちゃ興味を引く見出し。その宣伝モンクにまんまと乗せられて買って読んでみました。
 ると、この記事に掲載されたおじさんさも自慢げにイモチの消毒を7−8回もやったそうです。そりゃ、そんだけ農薬ブチ撒きゃ病気も出んわな。
んでも、いくら自分で食べるにしてもそんな農薬まみれのモン食いたいか?
ましてや、お金を頂いてひとさまに買って頂くことを考えると・・・
農家だって商売です。作って、売って、稼いでナンボですがねぇ・・・そこまでするかふつー?私ならよー食わんわ、それ以前にそこまでしてまで、たくさん採ろうという気がない欲のないやっちゃなー  宮沢賢治かぁ?わたしゃ。
本の発行元も、環境に配慮して農薬を減らしましょうというご時世にデカデカとこんな記事を載せるなよな。でも、未だに営農指導機関では、イモチが出ます。消毒をして減収を避けましょう。と言うような指導をしているのが現状です。 よく普及員さんに ええかげん、農薬を使わす営農指導をやめぃ、あんたらクスリ屋の回しモンか?っちゅうグチの一つもいいたくなるわけです、ほんまに。

ウチら東海地方より西では俗に西南暖地と呼ばれ、こめどころのメジャー産地より収量なんかの点では劣ります。しかし、比較的温暖な気候に恵まれている故、一般的に農薬の使用量は、きわめて少ないのが実状のようです。
農水省等の定める減農薬、低農薬農産物の定義に、
その地方で通常使われている回数または、量の半分以下で栽培されたものをいう。
という項目がありますが、例えば6回が通常の回数の地方があったとします。
上記の定義で行きますと3回以下なら、低農薬栽培っちゅうコトになります。
こんなモノは、絶対値と相対値の関係だわな。
かたや西南暖地で2回が通常の回数とします。
他の地方の減農薬栽培よりも使用回数が少なくっても慣行栽培の農産物です。
一回の使用が通常の地域で減農薬の規定を満たすのに半減させろって
そりゃムリだわな。
だいたいウチでも、イモチの消毒なんかしたコトがない。食べる人の健康ため、環境のため。それもあります、でもそんなことは、めんどくさい。しかし、食べる人よりクスリを散布する作業者が一番直接触れるわけです。第一に自分の健康のためですわ。

ああジレンマ・・・・・たとえ減収覚悟で農薬を使わない、減らす。ちゅうポリシーのモトで栽培していても、ヘタすると信念を貫けば貫く程 、減収になるワケで立派な信念でも説得力ないわな、経営的には・・・・。 でも、この意固地な信念を、いつか世間の人が分かってくれると信じて私たち生産者は作り続けています。

  2.栽培方法と栽培環境は、全く別モノです。

今話題の有機、2001年の四月からガイドラインに沿った規格が適用されるそうですが、この栽培方法をデカデカと表示して買って頂く人がただそれだけを信じてちゅうのは、片手落ちの気がします。
例えば、河川の源流の長野県の駒ヶ根市や、三重県の関町、たくさんあるでしょう。川の数だけ。
そのあたりで、フツー(の量、使い方ってコト)に化学肥料使って、フツーに農薬使って作った作物と、5年間化学肥料も農薬も使っていませんが、流れている水は、周囲の家庭排水の流れ込むような市街地。
このように栽培方法を明示しても栽培環境が異なる、不明な場合どうします?
消費者のみなさん、あなたならどっちを選びます?
絶対使用回数の少ない慣行栽培と絶対使用回数の多い減農薬栽培
水のきれいな慣行栽培と汚れた水の有機栽培
自分の食べているものを作っている現場が見れたら一番いいに決まってる。
結局最後は、生産者の考え方の問題ですけど・・・・
これが、消費者にとって一番大切やないんか?
と、私たちは思うワケです。
つづく To Be Continue