其之弐 何を今更・・・・  

 最近自分たちの住む環境の、アピールによくこういうモンクが使われるのを目にします。たとえば、
田んぼにオタマジャクシやタニシが、帰ってきました。
蛍が私たちの町にも帰ってきました。
一見するとなんか素晴らしい環境の理想郷の様なイメージに映りますがよーく考えてください。
「帰って来ました。」
っちゅーコトは、
今までおらんだんかい?
ってことです。そりゃ、少しでもきれいな環境になって昆虫や、水棲動物が帰って来るに越したことはありませんが、
何を今更。そんなモン当たり前におるわな。
オタマジャクシやタニシやヤゴなんぞは、居てあたりまえ。
田んぼの素堀りの排水にドジョウが居たり、ハグロトンボなんか鈴鹿川のあたりならウヨウヨおります。本当に水のきれい(って言うか田舎なら居て当たり前)な地域なら昔から当たり前におるわな、そんなモン。
一時の事を思うと水棲生物が増えてきているのは、事実です。
これは、自然環境の改善と言うよりも技術進歩、例えば、農薬の低毒化、洗剤等の低燐化や無燐化の低毒化によるもので、自然環境が改善されているっちゅうワケでもないのです。とりあえずメーカーさんに感謝。
 しかしマスコミが盛んに言う河川や湖沼の富栄養化によって発生する赤潮アオコの発生が家庭の台所から出る米のとぎ汁をスケープゴートにするのは止めなさい。だいたい米のとぎ汁なんて何千年、何百年スパンで日本を始め米食ってるアジア各国で流し続けていると思ってるん?いくら今より人口が少なくったって、これが原因なら何百年か前に既にこんな問題が出てきているはず。
 言っときますがバングラ等のガンジス川なんかは、ちゃいまっせ。あそこは宗教的に不浄と言う理由で下肥の類を使わず全部川へ捨てているので同じ有機物が原因の富栄養化でも意味合いが違う。 (朝日新聞社刊 山本茂実 著 「日本青年は健在だった」202ページ参照)
最大の原因のヒントはこのページの中、そうです。旧建設省の得意ワザ「必殺コンクリ固め」 ホンマ、「必ず殺す」読んで字の如くですわ。家庭の台所から河川から河口まで全てコンクリ固め昔は素堀で土のドブ、葦やらの一杯はえた河岸、私らの子供の頃にコンクリのU字溝に変わったのですがそのころはドブにアカゴ、(赤虫、糸ミミズ)がいっぱいいました。が、家庭用の台所洗剤の爆発的普及でいっぺんに絶滅。こ の頃はリンをたっぷり含んだ洗剤。ちょうど初代金銀パールプレゼントの時期くらいのはず。当然ドブも富栄養化になりますが、発生した植物プランクトンのあ る程度は彼らの餌となるでしょうし川へ流れても河岸の植物の養分となり消化されていたでしょうがコンクリで固めて植物すら生えない環境ではそのまま河川、 湖沼、そして海へと流れていきゃ富栄養化にもなって当然。自然の持つ自浄作用が機能しない環境にしてしまったからでしょう。今でこそ無リンの洗剤は当たり前ですが、それって何年前から?いいとこ、たかだか20年くらいでしょ?それまでしっかり富栄養化の原因のリンを垂れ流させておいて何を今更。メディアも大きな声で言えんわな。大事な広告主サマですから。
 加えてここだけのハナシ私ら農業での有機や無機を問わず肥料の成分が圃場から河川に流出している事実も加えておきます。(ど こぞの役所やあるまいに、自分らに都合の悪いコトを書かんのはアンフェアやん。さらけ出してこそ今ハヤリの「でぃすくろーぢゃー」)代掻き前の水田での表 面全面散布の肥料分流出を少しでも減少させるために今では主流になった側条施肥田植機が生まれました。従来たんぼの全面に施用していた肥料を、田植えの時 に苗の株元の土中に苗が必要なだけ仕込んで行く方法。旧来型よりロスや流出が減少した。これも無リン洗剤同様ここ20年。こうやってみると各業界がそれなりに努力しているのが伺えますな。 何だかんだ言っても一番遅れているのが我々使う側じゃない?
川の魚の種類が減っているのは、哀しいけれど事実です。
これは、水質の悪化と言うより河畔環境の変化、はっきり言って破壊、によるもので、コンクリートで護岸工事なんかするもので魚が産卵出来る葦等の草場がな くなっているのが原因のようです。コンクリートの護岸なんかを使わず昔ながらの蛇篭(じゃかご)なら石の隙間に魚が産卵出来るのでもっと魚は増えるでしょ う。極道、もとい国土交通省もやっとそれに気づいたのか最近の護岸工事には蛇篭を使い始めてきた様です。
鈴鹿川の砂防堰堤の補修工事を行った頃、近所のオヤジさんが大人の上腕部ほどの太さのナマズやウナギをかなりの数捕まえたと聞いてまだまだウチらの近所も捨てたモンやないなと思った次第です。
*蛇篭 篭(かご)状に編んだ針金等の中に石を入れて河川等の護岸工事に使う。針金以前は竹で編んだ篭だったそうです。
つづく To Be Continue