其之八 低農薬、減農薬の基準って何ぞや?
 JAS法表示で罰則が付くようになってもなくならない出るわ出るわの偽表示。大体において生産現場から見れば「アホくさ」的な法律だこと。減農薬の基準にしても、「その地域の一般に使われている半分以下。」って言っても地域差をどないしてくれる?ある地域の慣行栽培より農薬をたくさん使った減農薬ってそんなモンありかぁ?
 全くシャレにならんようなのが現行の法律です。いっそのコト「回数」で決めてくれた方が公平。ぶっちゃけたハナシ例えば「農薬5回が減農薬」で「3回が普通」ってどう考えてもおかしいと思いません?
 有名産地なんかでJA、農協単位で減農薬を行っているところは沢山ありますし農協集荷でこれを行うには大変な努力が必要です。こういった米は検査袋に「減農薬」のシールまたは、袋自体に使用農薬が印刷されているものもあります。おそらくこれにウソは、ないでしょう。所によっては検査済みの袋を詰め替えられないように袋の口を縛ってある紐に封印するところもあるそうです。。
 ここで考えてみてください。これが明記されているのは30kgの検査袋ですからこの表示を見ることが出来るのは農協の職員や米穀検査員、米の卸、いいとこ米の小売店までです。せっかくこうやって明記しても消費者の目に触れなかったら意味ないやん。関係者が見たって別にどうってコトのない表示。消費者の目に触れて初めて意味のあるものなのに、検査の、ロクでもない法律の為の表示になっています。消費者のためと思って作っている生産者の気持ちや努力はどないなるの?だからこんな法律や基準はダメだって。
 消費者の皆さんは、どう思います?いっそのこと使った農薬の商品名と使用年月日を全部書かせたら?それが一番よくわかるし公平。当然製品の袋にも明記させたら?
 山形県の減農薬表示シール
 使用農薬は成分名がかいてある。こんなモン分かるかぁ。わからんように成分で書いてあるのかい?検査員の人もこれ見て分かるんかな?よっぽど詳しい人でないとわからん。私でも大部分は分からなかったのでちょいと調べてみました。しかしこの成分の薬の使用でしかこの表示(シールの添付)は使えないので同じ役目の別の(成分の)薬を使ってもこの表示を使えなくなります。
 例えばこの表示で除草剤の「インダノファン」、「ピラゾスルフロンエチル」という2種類の源体(成分)を使用していますが、ウチらで使っている「メフェナセット」、「カフェンストロール」や「ハシロホップブチル」等の成分の除草剤を使った場合この「シール」は使えません。農薬会社は、いっぱいあるけど使う農薬の選択肢(自由度)が極めて少なくなる。中には1ー2社しか作ってない農薬もあるので、ここに載ってている剤の農薬会社ウハウハやん。

なんで殺菌剤が7成分で5−6(成分)回なんだろ?どちらか少ない方?で、調べてみました。

殺菌剤

成分名 一般的な農薬名 使用時期 適応病名等
プロクロラズ スポルダック 種子消毒 バカ苗病
ヒドロキシイソキサゾール タチガレエース 苗箱の床土 苗立ち枯れ病
プロベナゾール オリゼメート 植え付け前苗箱 イモチ病
トリシクラゾール ビーム粉剤 植え付け後本田 ゴマ葉枯れ病、イモチ病
EDDP ヒノザン 植え付け後本田 イモチ病
フラサイド ブラシン 植え付け後本田 イモチ病
ペンシクロン モンセレン 植え付け後本田 紋枯れ病

殺虫剤

成分名 一般的な農薬名 使用時期 適応害虫名等
フィプロニル プリンス 植え付け前苗箱 イネミズゾウムシ等
ピリダフェンチオン オフナック 植え付け後本田 総合殺虫剤
MEP スミチオン 種子消毒 稲シンガレセンチュウ
MPP バイバッサ 植え付け後本田 カメムシ、ウンカ等
エトフェンプロックス トレボン 植え付け後本田 メイチュウ、ウンカ、ヨコバエ

除草剤

成分名 一般的な農薬名 使用時期 適応雑草等
インダノファン キリフダエース、グラッシー、レグネット 植え付け後本田 ヒエ等水田雑草一般
ピラゾスルフロンエチル
と以上の様になりますが混合剤もかなりありますのでこの場合を現実的に使用時期順にまとめてみますと次のように。
成分名 一般的な農薬名 使用時期 ちなみにウチらでは・・・
MEP スミチオン 種子消毒 剤は違うけれど絶対する
プロクロラズ スポルダック
ヒドロキシイソキサゾール タチガレエース 苗箱の床土 剤は違うが播種時灌水でする
プロベナゾール オリゼプリンス
(混合剤)
植え付け前苗箱 場合によって使用
フィプロニル する人もいる
インダノファン、 キリフダエース、グラッシー、レグネット 植え付け後本田 一発処理剤、絶対する。
ピラゾスルフロンエチル
トリシクラゾール ビームモンセレン 植え付け後本田に粉剤または水和剤等を散布 ウチは絶対しない、死んでもせん。減収になろうと除草剤以降の薬剤は絶対せん。
ペンシクロン
MPP ヒノバイジット
EDDP
フラサイド ラブサイドトレボン等
エトフェンプロックス
ピリダフェンチオン オフナック
 こうやって表にしてみると思いっきり薬使ってるなぁ。というのが印象。少なく見積もっても8回。特に除草剤以外の(以降の)本田へ移植後の殺虫剤や殺菌剤の多いこと。これだけで4回。この分がウチらよりまるまる多い。これでマイルド、普通の半分なら慣行栽培は一体どんだけ農薬使っているんや?
 ちなみにウチらで絶対するのが、種子消毒2剤(農薬2)1回、播種時灌水1剤(農薬1)1回、除草剤1剤または、2剤(農薬1)1回。よくやって苗箱施用のイモチの殺菌剤。これで3回から4回。植えてからの殺虫剤なんてここ15ー6年は使ったコトがない。イモチの殺菌剤はウチらでも使う人もいますが稀でまぁごく少数派。私の知る範囲で近隣で最近殺虫剤なんて使っている見たことないぞ。人15−20年くらい昔大学の農場でヒノバイバッサとかバイジットとか使った記憶あるけど、まだ今でもあるんや。  *剤とは成分のこと
 しかしこういった表示やシールが消費者の目に触れなければ意味ないやん。すなわち見た目だけの米の等級検査の為の表示だってコトがわかるでしょ?生産者にとったって別段これって言うメリットは無いし。殺虫剤使ったって、殺菌剤使ったって単純に(純粋に)食味には何のも影響ない。米の見た目が良くなって等級が上がって少し高く買ってもらえるっちゅうだけ。今の検査では一等米は美味しいから一等なんじゃなくて見た目がキレイだから一等なんです。新食糧法で消費者の身になって考えるって言ったって、結局ここには消費者のコトなんか何にも考えていない今の「米の検査と表示の法律」が垣間見えるんじゃないですか?誰のための表示?何のためのシールの添付?
つづく To Be Continue