7、脱豆電球  暗いのはイヤ! その2 
もっともっと明るく前を照らす光を!
今度もちょっと凝ってるぞ。
2007年に10年ぶりに導入の田植機 SPD−8、軽くて速くてシンプルでイージーメンテなんだけれど「ちゃっちく」て「華奢」なのは許すが、前にも増して電気が暗い!
前のSPMは、曲がりなりにも27W球が2個入っていたけれど今度のは「21W球が1個」。こんなのは前照灯じゃなく「ポジションランプ」以外の何者でもない。他車に自分の存在を知らせるのには役に立つであろうが、薄暮から夕方に機械を移動させることが多いので、前の見えないのは恐怖である。
例によって前に使ったCIBUIE SC−Module80を装着するつもりだが、前の直線形状のランプユニットを抜いてFRPの板を加工装着するのに比べて、今回はボンネット一体の曲線形状。灯体を本体に着けるランプベースからの製作に。まぁ、これはこれで面白そうだが、どうなることやら。
でっかいライトレンズのクセして、実は豆電球1個のヘッドライト(?) これが実体。大きく見えるライトレンズも実は「銀色のシール」が貼ってあるだけで実際に電球が付いているのは右の小さなメッキシールのリフレクター。明るいハズがない。まぁ「金の掛かってない」シンプル構造。
でかいライトレンズを外すと右写真のような実体。裏側にライトユニットを固定する所もないので銀色シールの大きさでベースをFRPで成形して、そこへハウジングを作ってランプユニットを固定。
手順として標準の状態で、銀色シートの所にマスキングテープを貼って、更にその上にアルミテープを貼り付ける。これで「型」の出来上がり。ここに本来なら離型材を吹き付けるのだが、そんな気の利いたモノは無いので(高いし)代わりにシリコンスプレーを吹きつける。そこに「ポリエステル樹脂」を使ってグラスマットを積層していく。
本来ならこれが「製品と同じ形の雄型(おすがた)」でこれを#1200のペーパーで「ツルツル」に研磨。ここに離型剤を吹いて製品の表面になるゲルコート樹脂を塗り、その上にグラスマットを積層。これが量産の製品を抜く為の雌型(雌型)となる。この雌型はさらにコンパウンドを掛け「ツルンツルン」に研磨して、ここから量産用の「製品」を抜くのが通常の「FRP製品」の製作手順である。エアロパーツなどのFRP製品の製作は思う以上に結構な「手間」と「時間」と「根気」が必要である。故に結構なお値段がするのである。
今回は「どーせ自分が使う一品モノ」なので「いきなり製品の積層」となる。
標準の形状で3層ほどFRPを積層したものを穴の大きさに合わせてカット。表面はサンドペーパーで凸凹が無くなるまで研磨した(つもり) メッキシールリフレクターの位置をランプユニットの入る大きさに惜しげもなくザックリとカット。今更後戻りは絶対ムリ。
なにせ、作業をしていたのがコンバインを整備している合間を見てチマチマやった真冬。気温が低いので樹脂の乾燥にえらく時間がかかるので、ヒートガンで炙って乾燥時間を短縮(この方法は以前、市内の某FRP屋さんで教えて貰った裏技。樹脂の乾燥にムラが出ることがあるので市販する製品では絶対にしないそうです。)
おろしたての田植機のフードにランプユニットが入る大きさの穴を惜しげもなく「ザックリ」とあける。あくまで、現物合わせの作業である。積層したFRPをこの穴の大きさに合わせてカット。切り込んだ裏側にランプベースとなる部分をFRPを積層して成形。これを「お面」部分と結合させると・・・
こんな風に成形。こうやってみると表面はまだ凸凹。さらにサンディングしてなめらかにする。 とりあえず「ハメてみた」図。
この奥まった部分を適当な奥行きに調節してカーボンマットを張り込む。何故カーボンか?っていうと塗装よりラク(何色で塗る?)で見栄えが良いし、何より「手持ちがあるから」。
カーボンマットを張り込む。気温が低いので樹脂がなかなか乾燥せずに、いつまで経っても表面がネチャネチャ。と思ったらこれは樹脂の特性らしい。(後述) 灯体を装着する部分は寸法が採りやすく加工がラクなアルミ板を切り出した部分にした。ネチャつく樹脂の表面にラッカーのクリアーを吹いてネチャつき対策。
いつまで経っても樹脂が乾燥しないのは気温のせいかと思いきや、どうやら樹脂の特性で、「ノンパラ」(多分ノンパラフィン)と言われる樹脂は空気に触れている面は硬化しても表面が少しベトつくそうである。表面用は「インパラ」樹脂にしなくては、いけないようである。がそんなモノ無いので、自動車補修用のラッカーのクリアーを吹いてベトつき止めと表面仕上げ。写真右は真冬の常温ではクリアーを吹いた仕上がりが白く濁って来るので、沃素作業灯で暖めて乾燥促進。
アルミ板で「箱」を作って灯体を装着。それを「お面」に取り付け。アルミ板ムキ出しの部分にもカーボンマットを貼り付ける。 完成したのを本体に装着。アルミムキ出しの部分にカーボンを貼ってこれで一応は完成。
。しかし、このままだと前のセンターマーカーを後方に倒すとモロに灯体のレンズに当たるので、マーカー根本に角度制限用の「詰め物」をして干渉防止。

後は電気系統の配線をすれば一応の完成ではある。蛇足ではあるが「青いの」になってから電気系統の配線が「やたら簡素でシンプル」になっている。
やたらハーネスの多いSPMのハンドル下のカバー内。「仕掛け満載」の凝った構造。 それに比べて超簡素な「青いの」メインキーSWとライト、ウィンカーSWに植え付け昇降、マーカーSWの配線のみ。
左の「赤いの」SPMのワイヤーハーネス満載に比べて右の「青いの」SPDは極めてシンプル。「赤いの」は96年にして速度調節を「レバー位置センサー→電気信号→速度調節モーター→油圧ミッション」のいわゆる「バイワイヤ」方式を採っていた凝りようだったのに比べて、「青いの」は右写真下方に見える「ワイヤー」によって単純に「機械的」に速度調節をしている。
個人的には「凝ったの」も好きなのだが、現場での「修理、調節」を考えるとやっぱ「機械式」かと。

これで素敵に明るいSPDモノアイ化は一応の決着を見た。のだが前からウィンカーがまるっきり見えないので右折時にコワい目に遭うため要検討事項とする。
つづく To be Continue