其之七 今摺り米今搗き米、ホンマに美味いん?

米の貯蔵方法と食味
 お米のセールストークに「今摺り米」とか「今搗き米」とかがよく書かれていますが、「今摺り米」は乾燥して籾で貯蔵して、必要なときに必要なだけ籾摺りをして精米します。「今搗き米」は籾又は玄米貯蔵してあるものを必要なだけ必要なときに精米します。今摺り米も今搗き米になるわけです。
 ここで問題なのが貯蔵方法です。籾で貯蔵しても玄米で貯蔵しても貯蔵条件が同じなら食味の変化は、ほとんどないと言う研究結果が三重大学生物資源学部の教授から出ています。言い換えればいくら今摺り米と言っても常温での貯蔵なら低温で貯蔵された玄米の方が食味の低下が少ないと言うわけです。籾の低温貯蔵は容積がかさばるため通常サイロか貯留タンクで行われていますが、(千葉のグリーブさんはでっかい籾貯留ビンが完備されてた)これが完備されていない今摺り米は常温貯蔵でしょう。そうすると今摺り米のメリットなんて言うのは無いに等しいでしょう。もう一つのデメリットは、籾のニオイが米に付いてしまいますし、籾水分が少し高かったり条件によっては籾の表面にカビが発生します。ひどい時には黄変米になります。生産者がそのニオイを感じないレベルの人ならばそのまま今摺り米で出すでしょうし、それを感じても今更どうにもならないわけで残りの籾を一気に籾摺りして玄米貯蔵に切り替えれば良心的な方でしょうし感じなければそのまま売り続けるでしょう。
実際以前友人の所(個人の兼業農家)が農機具屋から籾摺り精米機を売りつけられたもんですから稲刈りしてウチのライスセンターに持って来て「これこれこういうコトやで、籾摺りは、いらんで乾燥だけしてほしい」っていうもんで乾燥だけして持ち帰ったんですが、翌年の収穫時期直前に「実は去年乾かしてもらっただけの籾がまだ結構あるんで早いところ摺ってほしい。だんだん籾摺って搗くのがメンド臭くなってきたし籾殻を処分するのがかなわん」っちゅーコトで持って来てもらって摺ったのですが、充分乾燥しているのですが籾摺り機に投入するときにすごいカビのニオイがした。摺り上がった玄米はキレイで別に何の問題もなかったんですがニオイを嗅ぐとやっぱり籾殻のニオイがする。ちょっと分けてもらって搗いて炊いて食べてもやっぱり籾殻のニオイは消えてません。俗に言うヒネ臭いニオイ。籾貯蔵なんて常温ではメリットなし。
 今搗き米ですが、これははっきり言って変わります。お米の味やニオイの変化(劣化)は脂肪の酸化に起因するモノです。お米の場合主にヌカの脂肪分が酸化することが原因ですので5分搗きや7分搗きのような搗精歩合の低い場合は白米より短時間で変化します。従って精米してなるべく短時間で食べきった方が美味しく食べられます。
 結論 
今摺り米は、いつ摺っても貯蔵条件次第で味に変化なし。常温ならメリットなし。
今搗き米は、精米して時間の経ったものより確かに美味しい。でも今搗き米だからといって長期間おいたらダメ。
追加  
商経アドバイス紙の記者の方が取材にみえたとき色々喋っていて、「玄米低温貯蔵今搗き米」が一般的かつ今までも行われてきたのかを考えれば明白。「貯蔵にも食味にも一番ムダがないから。」言われてみればごもっとも。
今摺り米を購入している人は、一度生産者に貯蔵条件を訊いてみて下さい。
つづく To Be Continue