其之拾四 今そこにある飢餓
あなたの食卓は大丈夫?
 アメリカ産牛肉のBSEでの輸入停止、山口に端を発し、韓国、ベトナムやタイをはじめインドネシアからパキスタンまでアジア全域を席巻する「鶏インフルエンザ」での鶏肉の輸入停止。日本の食はどうなる?って騒がれています。はっきりした数字は分かりませんが、輸入食肉の50%は入ってこなくなったのじゃないでしょうか?
 
 現在の日本で鶏を飼っているのは養鶏場のみと言って差し支えないので養鶏場さえチェックすれば鶏インフルエンザは駆逐出来るし、実際初動が早かったので蔓延は防げ国内産の玉子や鶏肉にはほとんど影響が出ていません。(それより玉子の生産年月日を偽っていた事の方が大きく騒がれメディアがこっちを取り上げていたのは何とも嘆かわしい。)これが諸外国と日本の最大の違いでアジアの諸外国では鶏は当たり前に家庭で買われています。それも放し飼いで。これを逐一検査して感染の拡張を防ぐのははっきり言って無理と思われます。タイなんかでは田舎へ行くと鶏がヒヨコをつれて道路を平然と往来してますし、バンコクの繁華街でも路地を一本入った住宅街では当然のように飼われています。はっきり言って日本の様に養鶏場の監視だけで感染の拡大は防げません。そんな理由からアジア全域で鶏インフルエンザを完全駆逐するのには相当な時間がかかりそうな気がします。加えて国土の広い中国でも感染確認の情報が入ったので完全収束には相当なそれにも増して可哀想なのがインドネシア等のイスラム国で宗教上の理由で豚肉の食べられない人々が主に口にする肉は「鶏」ですので、それが食べられないとなればインドネシアやパキスタンの国民には心から同情します。「何食ったらええのや?」って声が聞こえてきそう。
 以前から自給率の低さに危機感を持ち、自給率この程度でいいの?外国から買えなくなったときどうする?って思い続けて、そんな時が来る前に何とかみんなで考えてって思ってたら遂に来ちゃいました。 
 はっきり言って消費者の皆さんも安いモノが買えなくなったて感じで切迫した危機感なんてさほどないし、立法行政の皆さんも「とりあえずアブないモンの輸入を止めればそのうち何とかなる」としか考えていないようだし、特にメディアは目先の現象を騒ぎ立て根本的な原因まで追及する姿勢はまるでないし、それほどの危機感は皆さん感じて無いと思う。
 仮にこの先も例えば1年くらい食肉の輸入停止が続き、異常気象か何かで穀物の輸入も減少し、2004年の夏も冷夏で米の収量が203年並となればたちまち輸入に頼っている安売りの大手外食産業チェーン店の倒産は言うに及ばず、日本はあっと言う間に食料危機に。カネもモノも有っても買えない状態。これって経済制裁を受けている国家に等しい状態じゃないのでしょうか?
 米穀業界紙の「商経アドバイス」のコラム「時の声」によく書かれているの「食料こそ国防の要(かなめ)」って言葉が今になると重みを感じる。自給率が4割しかない日本に「カネ」があるに関わらず海外から食料が入って来なくなれば、経済制裁どころか「兵糧責め」です。
 いっそのこと経済制裁なら「エネルギー」である「モノ」も入って来ないので生産活動は停止するけど貿易もナシなので自給自足でなんとか行けばいい。鎖国状態で自国の存続みを考えればいい。しかしエネルギーは入ってくるけれど「食糧」だけが入って来なければ、「メシを食わせてもらえずに仕事だけする」状態。多国間貿易は従来通り行わなければならない。はっきり言ってこっちのがキツいんじゃないでしょうか?
 食の安全性が声高に言われて久しいですが、本当の食の安全とは、「農薬や肥料がどーのこーの」「環境ホルモンやアレルギーがどーのこーの」と言う目先のレベルの低い平和ボケしたことじゃなくもっと根本的なそれ以前の「食うモンが有るか無いか」の次元の安全性を考えないと国が滅びるところまでいくのではないでしょうか? 俗に言われている「食糧安保」ってヤツです。
 喉元過ぎれば何とやら。今年を乗り切れば何とかなると楽観する人も多いかも知れませんがそんな保証はどこにもないっ!人口増加等の国際情勢、異常気象の頻発する地球規模の環境変化を見れば楽観視出来る要因などないんじゃないでしょうか?。かといってこの騒ぎが数週間で収束するやも知れません。(わたしゃせんと思うけど)
 今一度、食卓に並んだ食品を眺めてみて「何故この食品がここにあるのかを考えてみては如何でしょうか?」どれだけのもののがどこで誰が作ったのかを考えてみては? 「私がさっきスーパーで買ってきたからや」ってボケはもう通用しませんぜ。
 今すぐに起こっても不思議ではないって言われている東海、東南海、南海地震と同様に自分が命の危機に曝されるあらゆる事において、もしもの時が来たときに慌てなくてすむ普段からの備えをみんなが持つべき時に来ているんじゃないかと。今の日本あまりにも平和ボケしすぎているような気がしてなりません。
つづく To Be Continue