其之弐 魅惑の沃素球への誘い
 あこがれの沃素(未だに私はハロゲンと言わない)ヘッドに替えてからというもの夜間走行がやっぱり楽しいかった。
そもそも沃素に替えたきっかけは、トラウマともなる雑誌の広告モンクでしたが理由は車の免許を取った当時、裸眼では適性試験(視力試験)が通らないほど視力が低下(今も変わらず0.3位)していたので、あっかるいライトが必然的に欲しくなったのが最大の理由。
 人間、何か一つ良くなればそれ以上のものが欲しくなるのが哀しいサガ。ヘッドが明るくなれば当然「「もっと光を」と補助灯が欲しくなるもので、フォグランプなぞに手を出し始めたのでした。国産の「PAN」(今でもあるのかしらん?)やkoito、stanreyなどの当時お約束の黄色いレンズにフツーのフィラメント球のもの。他車からの視認性は向上したものの、なまじ明るいヘッドを付けているので補助灯としては何の役にも立たない。無駄な電気を消費するのみの穀潰し電気。即却下の運命に。
で、やっぱ補助灯も沃素?っちゅうことで手を出したのがCIBIE type40 ドライビング レンズ径140mmクラスの薄型のちょっとおしゃれなヤツでした。白レンズ バルブは当時主流の今や絶滅危惧種のH2球55w。電源の引き出しなんかも理科の実験、豆電球よろしくバッテリー+ターミナルからスイッチ経由で直結。キーがOFFでも当然点灯。しかし、リレーなるモノを入れなくてはならないコトを知り電源の取り出しもライトスイッチONの時に点灯と多少進歩。 今考えるとなんとコワいことをしていたんだろうと我ながら思う次第。当時市販のライトチューンナップシステムなぞ気の利いた物は、この世に存在すらしていない。
後輩がリレーを介さずに55Wクラスの補助灯を4連装、スイッチONの瞬間に室内に引き込んだ2.5sq級コードが一瞬で火を噴いたそうな。 彼曰く、「車焼いたと思った。」
 さすが同等の沃素球ロービームでちょっと手薄になった部分をもれなくカバーしてくれました。

其之参 サファリマスターの代償

 車がハコスカからブルU(610ブルーバード)に替わって、同じ丸4灯ヘッド球はそのままスワップ。ブルUの大きなグリルに小さめのtype40は、見た目にも貧弱。行きつけのカーショップで手に入ったのが中古だけどあこがれのサファリマスター スーパーオスカードライビング。type40の140mmに比べてどどーんとデカくて当時(多分今も)世界最大級のレンズ径210mm ボディなんて、こいつでメシが炊けそうなくらいまんまナベ。デカくてカッコは良さそうなのだけど装着に一苦労。何せ半休型ボディーで厚みがある上に、「車の全長を変えずになおかつ、補助灯の中心は、前照灯の中心線以下」と言う保安基準を通そうと大苦戦。特に径の小さい4灯式の中心以下にあのデカいナベの中心を下げようと思うと問題山積。結局グリルを切ったりはつったりの大仕事になってしまいましたが何とかクリア。
nissan PA10safari
safari4連覇の日産ワークスPA10
使用灯火類はフェンダー上のウィングライト以外は、
このクルマと同じ丸4灯+スーパーオスカー2連装
このころ初めて100W球と、いわゆるハーネスキットCIBIEライトチューンナップシステムてのが出たので100Wとともに即Get。1系統1リレー(lowーhiリレーが一個ずつ)の本格派、スーパーオスカー付ける前にヘッドに100W(ご丁寧に4個とも)を装着。そんなもんシールドビームを沃素球に変えたのと比べモノにならないくらい別世界の明るさ。対向車の迷惑を考えて光軸調整だけは、きっちりやってました。  んでもhiビームにしたら、無意味だって。
 前のオーナーの気まぐれか件のスーパーオスカー何故か片方だけH2の100W球が入っていた。で補助灯の方にもハーネスキット付けて工事完了。しっかしヘッドだけで充分すぎる明るさがあるのでサファリマスターの活躍の機会なんて電気のない山道のワインディングか見通しの悪い雨降りや霧の出た夜くらいでした。しかし、これが間違いだったっと気づくのには大分時間がたってからでした。
  世界最強補助灯の本領を発揮する霧雨の梅雨時の夜が明けたとき、恐怖は突然やってきました。ヘッド100W4個補助100W+55W梅雨時なので冷房と曇り止めにエアコンかけてワイパーON、当然の様にリアの熱線も。この時の電装品の消費電力は、どれくらいだったんでしょう?そのときは考えもしなかったモンね。何しろその夜は彼女とデート+ホテルでお泊まりの超ハッピーな土曜の夜でしたもん。ライトで(lowビームと補助)350W=約30A以上エアコン約15A、ワイパーその他で5A以上は食ってるハズ。総計50A以上。 
 翌朝、昨夜の雨もすっかりあがって梅雨の晴れ間の上天気。車に乗り込んでセルを回してもカチっとも言わない。完膚なまでのバッテリー上がり。そうです。いくら世界最強のライトを付けても電気を発生させるオルタネーター(俗に言うダイナモね)の容量は、今でこそ燃料噴射や電子制御が多いので60Aほどありますが、いかんせん昭和50年以前の車、オルタネーターの容量はいいとこ30A程度。発電量以上の消費は、バッテリーのと言う貯金を食い潰しているので電気的借金地獄状態
 ホテルの社長さんのキャデラックにブースターケーブルを繋がして貰って帰路に就きました。
あー恥ずかしかった。
 教訓   収入にあった消費を発電量にあった電装品を。
 それ以来サファリマスターは、活躍の場を失ったのは言うまでもありません。
つづく To Be Continue