28、玄米用色彩選別機 KG−A205  その2
お手頃価格でそれなりに高能率、高精度で重宝している機械であるが、玄米を選別するのも、年柄年中するわけでなく、暖かい次期に作業しようものなら翌日には確実に昇降機の底とかに「コクゾウムシ」などの虫が侵入するので「虫が活動しない」冬場の作業に行う訳で、作業したあとの「掃除のし易さ」も使う身になれば重要なファクターである。
有り難いことにこの機械は「簡単にバラバラ」に分解出来る訳で、イジり回すのには都合の良い機種である。
前後のカバーを開けた状態。
向こうの側の見える素通し状態。
昇降機から選別部フィーダー部に落とす本体上部。図中右が機械前方(上部アイボルトの向きに注目) ナットは全てノブナットに交換済み。
前後の扉を開けると向こう側の見える素通し状態になり、各部へのアクセスは「後から前からどーぞ」状態に。
昇降機の底やカバー類の「開けられる所」を全て開けて、この状態で各部をエアーブローして、乾いた「ヌカ埃」や玄米の「見えるゴミ」を排除。
フィーダー部分を機械後方から見た図。
右の広い方が一次選別。
左の狭い方が二次選別。
フィーダー部分を機械前方から見た図。フィーダー周りに若干こぼれた玄米が。
昇降機からの漏斗部分を外す状態。
漏斗の取り外しも「知恵の輪」的。
角度と向きを間違うと引っ掛かって外れない。
フィーダー部分を機械後方より。
フィーダー部に「ヌカのこびりつき」が見える。
一番手前が玄米が流れる「溝シュート」
機械後方からシュート部を見た状態。
裏側に繋がる黒いハーネスはヒーター。
フィーダーを外してシュート部を機械前方から見た図。
シュート部にも「ヌカのこびりつき」が見える
丸い4つの凹みにフィーダーが着く。固定はマグネット。
上の写真のパッチン錠を外して上方に抜き取ると、シュート部も簡単に外れる。 シュート下方のカバーも簡単に外れるので、「溝シュート」の掃除も簡単に出来るのは有り難い。
取り外したフィーダー。
結構重い。測ってみたら、なんと8kg!
上部の漏斗部分やシュートの下部分などのステン部品。
フィーダー部分やシュートも同様に、こびりついた「ヌカ」を水拭き後に乾拭きして磨き上げる。
取扱説明書には、「1日の作業終了時に5分ほど空運転をして、残留玄米を排除すること」となっている。昇降機の底は船底型になっており、バケットにもスクレーパーが着いているので、昇降機の底にはほとんど残留玄米は残らない構造になっている。

この機種は「平シュート」タイプとこの機械の「溝シュート」タイプとがあるが、何故溝シュートを選んだかと言えば、常識的に考えて「平シュート」は幅広のシュートに玄米が「無造作」、「無秩序」に並んでいる訳で、この状態で流れて「玄米が確実にイジェクター(排除エア穴)の前を通るとは考え難い」が「溝シュート」なら「確実に玄米がイジェクターの前を通過するため、どう見ても精度は溝シュートの方が有利」と考えたからである。
2009年にクボタから、10ch相当の昇降機付きユニットで最廉価機種が100万台半ばで発売になった。これもまた農家が使うにはお手頃な価格。
秋にはサタケから5インチ籾摺り機から直接流し込める「ピカ選」なる機種が200万円台で発売。能書きを見てみると1時間あたり2トン。
一次選別平シュート、幅150mmイジェクター数30ch。二次選別溝シュート、幅80mmイジェクター数16ch。計46ch相当。
まぁ大体30俵の処理能力。時間30俵だと1分間に30kg1袋。このペースだと籾摺りの時に普通に計量をしていてもかなり忙しいペースである。

論理的に計算してみると、1時間=30俵。1分=30kg。1秒=0.5kg(500g)。チャンネル数が46chなので500g÷46ch=11g/ch。
1秒に最大1chあたり11g流れる計算。確かコシヒカリの玄米1000粒重が22gくらいだったハズなので、11gだと1秒に500粒の玄米が流れる計算になる。けど物理的にムリと思う。1秒500粒だと2msec(ミリセコンド)、500分の1秒だよ。米粒の長さが5mmとしても2.5m。秒速2.5mっていうと時速9kmだよ。人の歩く速度の約2倍。どう考えてもムリでしょ。
見た感じ、昇降機の高さを含めかなりコンパクトだが、機械の奥行きは深い。 この高さの昇降機で1分あたり30kgの玄米を流そうとすると相当な速さで回る昇降機と、相当細かいピッチでバケットが着いてないと搬送量は確保出来ないと思う。
高速で回る昇降機から排出される玄米は、かなりの速度で投げつけられる為、米へのダメージは相当にかかる筈である。機械の展示会で実演を見る機会があったが、昇降機が回る時の音は思った以上に大きく、5-6馬力くらいの汎用エンジンが動いているのと同等の「音」であった。
上のカタログの右側下に「本製品の耐久時間は1000時間です(消耗品を除く)って書いてあるけれど、1日8時間使って125日。1シーズン30日使ったとして、「たった4年」で耐久時間に達するけれど、「そんなに持たないもの」なの?
この手の機械の償却期間は税法上10年の筈だが、償却期間一杯も使えない訳?
それとも、1000時間使ったら新しい機械に買い換えて下さいって事なんでしょうか?
精度をどの程度想定しているかで変わってくるけど「異物混入率が1%未満の設定なら1秒に5粒、2%なら1秒に10粒、3%で15粒ハジけばいい」程度なら可能かな? ちなみに白米用のカラーマスターは異物混入率3%未完の設計。
ちなみに、コンバインの自動刈り高さ制御の油圧ソレノイドの制御速さが7msec(7ミリ秒)なので1秒間に約140ストローク動く。こっちは空圧。
今までみたく、ハッキリ言って500万円以上の「ボッタクリ」価格の機械から、「農家が導入するにはお手頃」な価格の機械が各メーカーから出始めたことは嬉しいことである。
メーカー間で切磋琢磨して、高精度、高能率の機械がお手頃価格でドンドン出てくることに期待するとしよう。あとは食味計だな。

つづく To Be Continue