20, たまには自分でバラしてみよう その1
は、いいけど組めるのかい?
まるっと10年間使ったコンバイン、毎年整備センターに整備には出しているが、今年はシーズン中にチェーンが切れたり様々なトラブルが発生。多分この分だと切れたチェーン以外にもかなり「ヤバい」箇所が相当あるだろうと思い冬場の手の空いている時期に自分でバラしてみることに。
まぁ、毎日みっちり取り組まなくても構わないし一回やっておけば今後トラブルが起きても対処出来るし、壊れる前の予防整備と考えれば時間は冬中?たっぷりあるし、焦る必要は全くナシ。
毎年収穫作業が終わればすぐに洗車して外装と足回りの泥は落とすし、機内に残ったモミの除去と刈り取り部や脱穀部分のワラクズやホコリはエアーブローして掃除しておくコトはいつものコト。これをやっておかないと機械内部にネズミが入って往生コイたことがある。
一番悲惨なのは機械の中でお亡くなりになる時。気絶するほど素敵なニオイが・・・
写真左、ワラくずを取り除きホコリをエアーで吹いただけで洗車前の状態。ごらんの通り泥はねやオイルだらけ。
写真右、それほどの湿田は無いのだが、シーズンが終わればこの程度の泥のは当たり前。泥が乾く前の柔らかい状態で洗車した方がきれいに落ちる。泥や油が落ちるまでカッパ着て高圧洗浄機でひたすら洗車。
カバーを外したり、下回りを覗き込んでみると意外なほど汚れているモノでなるべく早く処置をするのに越したことはない。
ホコリを吹いてからまず洗車、カバーを全部外して油汚れを落とすのに再度洗車してエアブロー。カバーが無いとターミネータースケルトン。ここからもっとバラす。扱アミもバラして交換。 シーズン中に切れたのが扱胴手前のこのチェーン。ガイド棒も刃物の様に摩耗。触ればポロリとイキそう。鉄筋溶接で応急処置してシーズン後に交換。
上の図の如くカバーを全部外して、カバーの中のオイル汚れを再度洗車。ずぶ濡れになるのでカッパを着てカバー内の泥やらホコリ固形物やらオイルの固まりかけたのやらをバンバン洗浄。動力噴霧器があるのだが準備がメンドーなのでホームセンターで「黄色い」高圧洗浄機を買ってきた。本職業務用と同程度とは行かないが値段の割に使いモノになった。
右の図がシーズン中にブチ切れた扱き胴手前のチェーン。チェーンに注油してた時に「ローラーが大分すり減ってヤバそうだなー、部品発注しといた方が・・・」って思ってた30分後に「バッチーン」って破断音が・・・すぐに気づいたから良かったが、一番下流なのでここが詰まると刈り取り搬送部が全部詰まる。その下に付いているガイド棒も触れば「ポロリ」と折れるくらい暑さ3mmも無いほどに摩耗。鉄筋溶接の応急処置してシーズン後に要交換。
シーズン直後で、水も電気も道具もエアもある作業場の広場なのだが、ここでバラすとなるとホコリまみれになるし、外した部品を失うし、何よりスペース的に邪魔になるので、この状態で倉庫ハウスへ引っ越し。
修理箇所ってか手を入れる予定箇所は、刈り取り部の「ヤバそうな所全部」なので、
1、引き起こしチェーン全交換。駆動、テンションスプロケット全交換。
2、株元チェーン全交換。チェーンテンション、アイドラーローラー不良ベアリング交換
3、パッカー部不良ベアリング交換。
4、廃ワラチェーン交換、同不良ベアリング交換。
基本的に刈り取り作業中に壊れたり切れたりして「修理に手間取りそうな箇所」や「いかにもヤバそうな箇所」を中心に手を入れる。フィードチェーンの様に「修理に手間のかからない」箇所は除外。
ごらんの通り汚れまくり。籾からは発芽してこんな所が苗代に・・

高圧洗浄機を使って丁寧に洗ったつもりでもチェーンの前のカバーが着いているとこの程度しか落ちていない。ホコリと油の「こってり汚れ」と付着した籾から発芽したのを引き起こしチェーンを外す前にに全条エアーブロー。引き起こしチェーンを外してからパーツクリーナーで油汚れを徹底に除去。
手始めに摩耗した駆動スプロケットとテンションスプロケットの交換。駆動スプロケットベベルギアとご丁寧にベアリングが2個も入っていておまけにグリス封入箇所。きっちり収まるグリスの量が超微妙。グリスまみれになるコトは明白なのでいちいち手を洗いに行くのがメンドーなのでゴム手袋着用で作業。手は汚れないがやっぱ滑る・・。これで前の部分の邪魔者を排除。チェーンは最後に組む。
続いて搬送チェーンを交換するのに今付いているチェーンを外すべくチェーンの交換手順を機械を眺めながら考えていると、やたら邪魔物が多いし、「どうやって外すの?」と悩みまくり。早くも「やめときゃよかった」って想いが頭をよぎる・・・・・・。
邪魔になるであろう突起付きベルトとそのカバー、手や体の入るスペースの確保にその他邪魔になりそうなカバーというカバーを全部外しても足りず、フレームの左側の補強筋交い等外れるモノは全て外す。元通りちゃんと組めるんだろうか・・・?って思う程取り外した部品が増えていく。
邪魔者が無くなった段階で下からも作業出来るように刈り取り部を上げて駆動軸にウマを掛けてチェーンを外して交換。きれいに洗浄したつもりでもチェーンって意外と油まみれ。機体に付いている時は短く見えるチェーンも外してみると意外に長いコトを発見。手が入って外れるチェーンを全て外す。この際にと外したチェーンのテンションやアイドラーローラーも点検。ほとんどのベアリングが錆び付いて回らないモノ、ガタガタ、または破損。中にはボールが外れて完全にバラバラのモノも。
チェーンやローラーを外したついでに周囲の油汚れをこの際にパーツクリーナーで洗浄。やるとなったらこの際徹底的に掃除もしておくコトに。壊れたベアリングを抜いてパーツクリーナーで洗浄して軸等に軽くグリス塗って新品のベアリングに交換して組み付け。数があるので思った以上に結構手間が掛かった。交換したベアリングの数も相当な数に。
さて一番の問題児が右側の「やたら長い」搬送チェーン。その他のチェーンは接ぎを外せば「サク」っと抜けてくれるがこいつだけは駆動プーリーを回して送らないと抜けて来ないので、刈り取り部を本機から完全分離。
倉庫ハウスに引っ越し。ここなら長期間とっちらけてても問題ナシ。刈り取り部を本機から完全分離して、カバー類、チェーンを取り外し。前の引き起こし部の駆動スプロケットやら、チェーンのテンションまで完全にバラバラ。ほとんど恐竜の骨格標本状態。
外してみると刈り取り部の支点(ピボット)部分に「カジリ傷」発見。グリスニップルはあるのだが頻繁にグリスアップをしている訳ではないのでグリス切れになった様子。今後の注意事項にしておこう。組むときにはしっかりグリス塗布とグリスアップ。
上の写真が分離した図で肋骨みたいなチェーンの下側に平行に付いているので右写真のプーリーを手で回して送ってチェーンを抜くのだが、時として腕の長さが倍欲しい。長いだけに結構な重量があるので「南京玉すだれ」みたいに「クニャ」って捻ってしまったら泣きそうになるほど外しにくい。チェーンを外してテンション等のベアリングを交換して新しいチェーンの組み付け。長い、重い、滑る、の三重苦。
めったに外さない両端の条のチェーンを外したついでに刈刃駆動クランクとパッカーのベアリングもこの際にと交換。バラしてみたら部品点数の多いコトに辟易。外から見えない所にホコリやらワラくずがいっぱい積もっていた。バラしてみて正解。
何だかんだ言いつつ自分でバラしてみて、どーにか組み上げられる目処はついたのであった。

つづく To Be Continue