15 マジっすか? 
軸がらみトラブル2題
その1 田植機
10年間1000時間回った田植機。そろそろ後継機の導入を検討せねば・・・と考えていた2006年。漫画のような冗談みたいに車輪がコロンと外れる(正確には外れそうになった)
田植えを初めて3日目くらい。とある圃場で最終ラップ外周を回って終わり、それも最終工程って時に水位の調節で排水溝に板を入れ、何気なく田植機の後輪を見ると
「ゲっ!!軸が突き出ていない・・・」
普通田植機の後輪車軸は湿田用Wタイヤを着けたり、ウチのはビークル兼用でトレッド調節のためにホイルの側面から10cmほど突き出ているモノなのですが、この突き出しが「無い」、っていうか、かなり奥まってる。
本来これくらい突き出している田植機の後輪車軸 が、抜け止めピンが折れてこれくらいまで抜けてきた。あと4−5cmで完全に抜け落ち。(再現イメージ図です)
「マジっすか?」
さすがの私も顔面蒼白。血の気が引いた。
あと4−5cmで完全に抜け落ち。何を放っておいてもソッコーで直さないと、田植機が田んぼの中で「尻もち」をつく状態。冗談みたいな話だけど、いざ実際になってみると「シャレにならない」
で、急いで復旧用に「ジャッキとかませ板」と新しい「抜け止めピン」をを取りに走って、いざ作業にかかっても思うようにならん。そりゃ作業場所が水のついた泥田、大きな板木を噛ませてジャッキアップしても下が泥だから「めり込むめり込む」。おまけに田植機が空車1トンの重量級だから田の表面に吸い付いている。
泥と格闘して2時間。ホイルを定位置に戻して、ピン入れて田植機を動かしたのはいいが、板木が泥に吸い付いて取れない・・・
なぜ、ホイルが外れてくるのか考えたのだが、元来上の写真の様にリベットピンを差し込んでRピンで停めてあるだけなのだが、ピンが摩耗してきたので、心配性の私は、ステンのボルトにロックナットに交換。てっきりナットが外れてボルトが抜け落ちてホイルがずれたものだと思った。
が、翌日も作業の途中でピン(ボルト)が無いのを発見。と思いきや180℃反対側は、ある。ってコトは「折れてる・・」再度ジャッキアップ。ホイルを戻して居るときに、その回転方向の「ガタ」の大きさを発見。8mmのピン穴が見えなくなるほどのガタ。そりゃ折れるわ。
8条植えなので枕地を1行程で植えるのに畦までギリギリつききるため1行程ごとに前後進の繰り返しの連続。おまけに自重1トン。そりゃ車軸もハブも摩耗して当然。
レンチの面接点みたいに摩耗したハブ。本来は正6角形
本来なら正六角形のシャフト穴が、レンチの面接点みたいにキレイに摩耗。各辺が直線で無いし、頂点が「丸い」のがよく分かる。ハブがこんなのだから車軸も目に見えて摩耗していた。
田植え車輪に付いているこのハブよりビークル用のハブの方が使用時間が格段に少ないので、そちらに付け替え。ついでにシャフトとハブの隙間に薄い鉄板でくさびを入れて、ピンが抜けてもホイルが抜け落ちない様に外側にピンを入れた。(最初の写真参照)
所詮あくまで応急処置なので、当然修理と言うか部品発注。返答は在庫がないので「今から作る」って・・おいっ!
5月に頼んで田植え作業中に間に合わない。散布作業の終わった8月上旬に出来ました。って言われてももう使わないって。まもなく稲刈りも始まるし・・。
田植機の車軸が摩耗して交換するまで誰もそこまで使わないんだろうか?
1000時間の耐久性まで想定してないんでしょうかねぇ。 
その2 ロータリー
田んぼの一番耕をしていて、いよいよ最終ラップ、これで終わりって時にいきなり「カクン」とPTOクラッチが抜ける様な感じで作業機に動力が伝わらない。
「あれー??クラッチかギアでも抜けた?」
かと思いきやそうでもない。PTOは回っているし、ロータリーの入力軸も回っている。以前、爪軸のベアリングがバラバラになって「ドカーン」という音とともにチェーンケースが破れてオイルを田んぼへブちまけた事(当然、後からオイルまみれの土は撤去)もあったがそうでもない。
きっとスプラインじゃなく入力軸のキーかノックピンでも折れて空回りしてるんだと思い、帰ってトラクターから外してチェーンケースのオイルを抜いて入力軸を回しながらチェーンの動きを見てもちゃんと回ってるし
「ならチェーンケースが壊れずにチェーンが切れた?」
と思いチェーンケースを外しても異常なし。
「なら何処が壊れた??」
このロータリー、チェーンのオイルシールが損傷していて、使っているときはオイル漏れはないものの停めておくとオイル漏れしていたので部品待ちの修理待ち。
オイルシール損傷でオイル漏れをしているので
どうせ修理の時に爪軸を外さねばならないので、ウマを架けて爪軸分離。比較的新しい型なので爪軸一体ではなく、フランジで縁が切れるのでここから外すと
こういう風に爪軸を外したら こんなのが「落ちて」来たんですけど・・・
「マジっすかぁ?」
なんと直径4cmもあろう軸が折れている。
本来こんな部品で駆動チェーンの下側のスプロケットのシャフト が、こんな風にボキっと折れた。
どのみち爪軸やチェーンを外してこのシャフト部分をこうやって抜き去らないとオイルシールの交換は出来ないので「ついで」と言えば「ついで」なのだが、まさかこんな「ぶっといシャフト」が折れているとは思わなかった。
考え方によっては、チェーンが切れたりベアリングが壊れたらチェーンケースが破れてオイルはブチまけるわ、交換部品はふえるわでもっと大事。ギアボックスの中が壊れようモノなら全バラ状態なので、思いもよらぬ故障ではあるけど、修理箇所が一番少なくて、安上がりなトラブルだったとも言える。フランジとオイルシールでお値段¥34000程也。  
もちろん今回壊れたフランジの方は小物の溶接や金物の「ブッ叩き台」に、折れたシャフトは破断面をサンダーで研磨してベアリングの抜き取り&叩き込み用の「道具」として使わせて頂きます。