17 古い機械の修理
直すなら部品のあるうちに
古い機械を使っていて何が一番困るかと言えば「部品の年限切れ」法令では生産終了になって8年は部品の供給が義務づけられているけれど短すぎないかい?たった8年って。
昭和47年製の散布作業専用トラクター、2004−5年頃からウォーターポンプのベアリングから異音発生。作業機を他のトラクターに付け替えるの面倒だし「部品が手にはいるか否か?」を確認すると、「部品単体では出ないがポンプAssyなら出る」とのコト。
「メーカーの良心か?」はともかく35年もの前の機械の部品が供給して貰えるってのは有り難い話ではありますが、せめて法令でも10−15年くらいは部品の供給をしてもらわないといつまでも「使い捨て」文化では資源の有効利用って点で時代に逆行じゃありません?
5−6年前に水温計のブルトン管が折れて水温計が機能しなくなりラジエターの口金の腐食で水漏れからオーバーヒート、ラジエターのリビルドを経験した「曰く付き冷却系」だけにその轍はもう踏みたくない・・・
さすがに年間2−30時間しか使わなくても年を追うごとに段々音も大きくなって何時お亡くなりになってもおかしくないゴロゴロという音が。次第にシャフトから水が滲み出して来て遂に2007年、漏水500cc/日以下程度の頃に部品の発注はかけて「入荷待ち」で使っていたけど段々漏水がひどくなりペットボトル持参で2000cc/日になりーの、終いには水を追加している端から漏れだして「もー限界」状態。
入れるそばから漏れてはもう限界 どう見てもファンだけ外れるような都合良さは「無い」
ポンプ交換の際にラジエターファンだけを外したらポンプが外れるだろうと言う甘い目論見は見事にハズれラジエターを外さないとファンもホースも外れないコトが発覚。
仕方がないと、冷却水を抜く段取り。漏れが少なく水を足していた間はまだ冷却水はLLCの緑色をしていたので安心しきっていたけど、ドレンを開けて冷却水を抜いてみると・・・・
ゲッ!!「何じゃこれーぇ!!」
サビで腐海と化していた冷却水
って思わず叫びたくなるほどサビで腐海と化していた冷却水。まさかこんなにヒドいとは思わなかった。するとポンプを外すとひょっとして開けてはならない「パンドラの箱」?
ともかくラジエターを外さないとコトが始まらないのでラジエター外しに取りかかると
分厚いラジエターホースを苦労して抜いてラジエターを外しファンベルトを外そうにもダイナモも降ろさないと調整代がない。 燃料パイプの後ろ側にもポンプ固定ボルト発見。サクっと簡単に外れると考えていたら、アマかった。
ラジエターの位置決めの為かやたら分厚いラジエターホースを外すのに一苦労しーの、ラジエターが外れてファンとご対面となってもファンベルトがオルタネータを降ろさないと外れないし、やっとファンを外してポンプの固定ボルトを抜いていると燃料パイプの後ろ側にもボルトがある、ってコトは燃料パイプも外せってコト?
もーイヤっ!!むちゃくちゃ厄介
やっとの想いでポンプを外して内部を見ると冷却水が腐海になっている割りには綺麗なもの。でもサーモスタットにつながるアッパーホースの方がサビだらけ。
エンジン側がサビだらけ。ここが腐海の原因?
ここまで来れば、後は新品を取り付けて、補器類を元通りに組めばイイだけで、サクっと組み付けて、冷却水を入れて燃料系のエア抜きをして終わり。のハズが、エア抜きのプライミングポンプが固着して手で回したくらいでは抜けてこない。パイプレンチで回したら。
「折れた」
ウチに来て15年以上燃料切れや燃料系統のトラブルが無いので一度も使ったコトがないし、おそらく新車時から一度も使われていないと思う。まぁ今後も使うことは無いと思うけど。故に無くても別に困らんのだが・・
エア抜き用のプラグを緩めてセルモーターを回せば配管中のエアは抜けるので大した問題ではないけど。程なくエアが抜けてエンジンは無事始動。エンジン回してサーモスタットが開くまで水温上げて冷却水を循環させて水漏れのチェックと汚れた冷却水の抜き替えしてすべては完了。
結局なんだかんだで1日仕事。黎明期の機械ゆえ設計やレイアウトに「何で?」って点は多いのは仕方のないところ。この頃の機械のがシンプルで好きなんだけどね。
ついでに壊れていた水温計を交換。作業時の水温も82℃±2℃の範囲でピッタシ安定。
無事に35年前の機械が修理出来ました。古い機械をお使いの皆さん、故障箇所があるなら「部品が手に入るウチに」直しておきましょう。直らなきゃどんなに高性能でもだだの鉄クズですもん。
つづく To Be Continue